中国で路面電車は「有軌電車(you3gui3dian4che1)」と呼ばれる。
日本では最近都市の新しい交通手段として、路面電車やLRTなどが見直されつつあるが、中国でも同様で、中規模輸送力の担い手として路面電車があちらこちらで導入され始めていて全国で十数都市において既に開通、或いは導入が予定されている。
中規模輸送力とは、バスと地下鉄の中間程度の輸送力を担う交通機関であり、バスより多くの人を安定して運べ、地下鉄より遙かに建設費が安いのが魅力のようだ。

◇華東地区

◎上海(直轄市)

古くは1908年のイギリス租界時代に旧タイプの路面電車は登場したが、騒音が大きく、性能が低いなどの理由からいったん消滅した。
その後、電車技術の進歩を経て、上海市東部の張江高科(ハイテクパーク)区地区に新たに、単一の誘導軌道を持つ張江有軌電車が2009年に再開通した。
また上海市西部の松江区でも域内交通として新たに建設が進んでいる。
上海張江有軌電車
・松江有軌電車(建設中)

◎南京市(江蘇省)

南京市では旧式の路面電車が1963年8月以降、長らく路面電車の無い時代が続いたが、河西地区の域内交通機関として2014年8月1日にあらたに南京河西有軌電車が開通した。
・南京河西有軌電車

◎蘇州市(江蘇省)

蘇州市西部の太湖に近い蘇州高新区(ハイテクパーク)開発区と市街地を結ぶ交通機関として蘇州有軌電車が2014年10月に開通した。
蘇州有軌電車

◎徐州市(江蘇省)

徐州市内の交通再整備を目標に4路線29.9キロの建設計画が進められている。
・徐州有軌電車(建設中)

◎淮安市(江蘇省)

淮安市体育館から商貿城までの全20.3キロ23駅の淮安有軌電車が建設中
・淮安有軌電車

◎合肥市(安徽省)

・合肥有軌電車(建設中)

◇華北地区

◎北京市(直轄市)

北京市では古く1899年に路面電車の運行が始まっていたが義和団事件で爆破され、1924年に再度開通し1966年までに停止されるまで運用されていた。その後2008年に前門大街から南口の間で一時運行を復活させたことがあったが、前門線は現在は休止している。
現在北京市西郊外の香山地区で、近代式の路面電車の計画が進められ、香山、北京植物園、香泉環島、万安公墓、玉泉郊野公園、南水北調公園をまわり地下鉄10号線へ至るルート建設が進んでいる。
・北京有軌電車香山線(建設中)

◎天津市(直轄市)

天津の路面電車の歴史は古く、1906年に最初の路面電車が運行されていたが、その後1960年までに一旦姿を消した。
その後2006年12月に、濱海新区地区に現代型の路面電車が開通している。
・濱海新区開発区有軌電車

◎青島市(山東省)

 青島市初の路面電車となる青島有軌電車が2016年3月に開通している。
青島有軌電車

◎威海市(山東省)

・威海有軌電車

◇東北地区

◎長春市(吉林省)

かつて日本が建国した満州国が敷設した路面電車網の一部が現代でも運用されている。54路と55路の名称で運行され、2013年から設備と車両を近代的なものに刷新した後は、新たな都市交通の基軸として拡張が計画されている。
・長春有軌電車

◎大連市(遼寧省)

かつて日本が建国した満州国が敷設した路面電車網の一部が現代でも運用されている。201路と202路の名称で旧式の車両と近代型車両が混合運用され市内を走る。
・大連有軌電車

◎瀋陽市(遼寧省)

瀋陽市の中心部に2013年に開通し、現在までに4路線60キロが開通、将来的には瀋陽桃園国際空港までを結ぶ予定。
・渾南現代有軌電車

◎鞍山市(遼寧省)

中華人民共和国成立後、いち早く再建されたが2003年までに全て廃止された。
その後2010年12月に太平街から曙光北路の間で再建されている。

◇華南地区

◎広州市(広東省)

広州市では最初の1912年に最初の路面電車が登場しているが日本軍との戦火の最中の1938年に消滅した。
その後、長らく路面電車の無い時代が続いたが、2014年12月に海珠地区の広州塔-万勝園間の7.8キロ10駅が開通し、広州に再び路面電車が戻ってきた。
・海珠有軌電車

◎珠海市(広東省)

・珠海有軌電車

◎シンセン(広東省)

◇内陸部地区

◎武漢市(湖北省)

 2017年7月に武漢市初の路面電車となる武漢有軌電車のT6線(大漢陽有軌電車)16.8キロ23駅が開業した。
・武漢有軌電車

◎成都市(四川省)

 成都市内の新しい交通機関として4路線が計画され、このうち2号線(成都西鉄道駅-鄙県西間8.9キロ)などが2018年開業に向けて建設中となっている。
・成都現代有軌電車(建設中)

蘇州有軌電車